~成年後見・高齢者の財産管理~
認知症等によりお金や財産の管理ができない、
騙されてしまわないか心配であるという場合や
いろいろな契約が理解できない、契約ができないという場合等に、
家庭裁判所に成年後見等の申立てを行います。
裁判所から選任された成年後見人等が、お金や財産の管理をしたり、
いろいろな契約を代理して行います。
成年後見開始前の預金引き出しについて、無断引き出しが
問題となる場合、成年後見人が、使途不明金の返金を
求める場合があります。
この場合、金員の受領者から、本人の承諾を得たという
反論がなされることが多く、いつの時点から
意思能力が欠如していたかが争点になることが多いです。
~後見・保佐・補助~
「法定後見制度とは」
法定後見制度には「後見」「保佐」「補助」
の3類型があります。
意思能力がない状態の場合「後見」制度が開始されます
意思能力が著しく不十分な場合「保佐」制度が開始されます
意思能力が不十分な場合「補助」制度が開始されます。
軽度になるにしたがって、本人の意思が尊重されます。
申立てにあたっては、医師の診断書等が必要となります。
申立てが受理されると、原則、裁判所による鑑定が実施されます。
~成年被後見人による遺言~
成年被後見人でも有効な遺言をすることができる
場合があります。
遺言の場に医師二名以上が立ち会って、
成年被後見人である遺言者が遺言をするときに、
判断能力を一時的に回復していることを当該医師が
証明し、遺言書に付記して、署名押印すること等の
要件をみたせば有効な遺言ができます。
~親亡き後の問題~
「障がいをもった子どもがいるが、自分が死んだ
後、子の生活が心配である」
信託の活用により、信頼できる人もしくは
信託会社を受託者として、親が亡くなったのち、
障がいをもった子どもに
財産を定期的に、例えば毎月〇万円
などと分割して給付できるよう
柔軟に契約することができます。
受託者が財産を受託者名義で管理処分するため、
障がいを持った子どもが不当な契約をさせられる
こと等から保護できます。
~後継ぎ遺贈~
「自分の不動産を、自分の死後、妻に残したいが、
妻が亡くなったのちは、自分の前妻との子ども
に使用させたい」
民法上このような後継遺贈は無効と解する
見解が有力です。
信託の活用により、信頼できる人又は
信託銀行を受託者として、自分が亡くなったのちは、
妻に不動産を残し、妻が亡くなったのちは、
自分の不動産の子供に財産を残すよう
契約することができます。
~認知症と遺産分割~
「父が亡くなったが、母が認知症である。
遺産分割協議をどうすればいいか」
相続人の中に意思能力を欠いた人がいる場合、
そのまま遺産分割協議をしても、無効の主張が
された場合、遺産分割が無効となります。
相続人の中に、意思能力を欠いた人がいる場合は、
成年後見制度を利用し、後見人等を選任します。
後見人等が意思能力のない本人の利益保護を図り、
本人に代わって、遺産分割協議を行います。
~認知症等の成年後見等(利益相反)~
「父が亡くなったが、母が認知症で、
子の私が母の成年後見人をしている。
遺産分割協議をどうすればいいか」
この場合、後見人(子)と被後見人(母)
がいずれも相続人になり、利益相反関係になります。
遺産分割協議を行うには、裁判所に
特別代理人を選任してもらう必要があります
特別代理人が、被後見人(母)の利益保護を図り、
被後見人(母)を代理して、協議を行います。
なお、保佐人の場合、臨時保佐人、
補助人の場合、臨時補助人を選任します。
~任意後見~
本人の判断能力が低下した後の本人の財産管理や
身上監護を目的とする契約です。
本人の判断能力低下前、公正証書により契約を行います。
自らが信頼する者との間で任意後見契約を締結できます。
本人の判断能力が低下した後に、家庭裁判所により
任意後見監督人が選任され、任意後見人がその監督を
受けながら、後見が開始し本人の後見事務を行います。
~介護事故~
「介護施設での転倒・転落事故の責任」
事業者(施設)は、患者等の生命及び身体の安全に
配慮すべき義務(安全配慮義務)を負っています。
事業者が認識していたか又は認識すべきであった患者などの
心身の状態を前提として、患者等がどの程度転倒・転落する
危険性があるのか、これを踏まえて、事業者はどの程度の
防止措置を採らなければならないか、などから
安全配慮義務違反の有無が判断されます。
「介護施設での誤嚥事故の責任」
誤嚥(ごえん)とは、食べ物や異物を期間内に
吸い込んでしまうことをいい、これにより窒息したり、
肺炎を発症したりすることがあります。
事業者(施設)が、誤嚥防止のための措置
(食事上の配慮や職員による食事の付添等)を採っていたか、
患者等の、従前の症状、誤嚥の危険性の有無・程度等
から安全配慮義務違反の有無が判断されます。
※費用の詳細は、後見等について弁護士費用ページをご参照ください。
介護事故の費用の詳細は、その他法律問題費用ページとなります。